お役立ち情報 INFORMATION
【税理士監修】海外FXの税金完全解説ガイド|国内FXとの税率の違いや計算方法、確定申告のやり方

ハイレバ取引で大きな利益を狙いやすい海外FX。しかし、海外FXは「総合課税」という課税区分が適用され、所得が増えるほど税金も高くなる傾向にあります。
本記事では、海外FXにかかる税金や確定申告の方法について詳しく紹介します。
税金の計算方法や国内FXとの税金の違いについても解説しているので、海外FXの税金について疑問がある方はぜひ参考にしてください。
本記事を読めば海外FXの税金に関しての疑問はすべて解決できるかと思いますので期待ください。

税理士
平川文菜(ねこころ)
京都大学 在学中より税理士試験の勉強を始め、2018年12月に税法三科目(法人・消費・国徴)を同時に合格し、官報合格で税理士資格を取得。 2018年9月よりBIG4 税理士法人の一つであるKPMG税理士法人において、若手かつ女性という少数の立場ながら2年間にわたり活躍。税務DDやアドバイザリーといった幅広い業務に従事。 2020年9月より、外資系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループに転職。戦略策定から実行支援まで幅広い業務に従事。2024年12月にフリーランスとして独立。コンサルティング業務やライティング業務に従事。
目次
海外FXにおいて利益が出た場合に税金が発生する
海外FXで税金が発生するタイミングは、「利益が出た時点」になります。
そして、海外FXで利益が出ても税金の抜け道はありません。万が一脱税しても税務署にバレてしまうので、一定額以上の利益が出た方は必ず確定申告する必要があります。
以下では、脱税がバレる理由や税金を支払わなかった場合にどうなるのか、それぞれ解説します。
海外FXの税金に抜け道はない?脱税がバレる理由
結論、海外FXの税金に抜け道はありません。
海外に拠点がある海外FX業者を利用していても、一定額以上の利益が出ているのに納税しなければ税務署に脱税が必ずバレてしまいます。
なぜなら、日本の税務署は、国外送金等調書やCRSによって海外で発生した所得を把握できるためです。
国外送金等調書:海外FXで得た利益を国内で使用するために国内口座に入金したら税務署に連絡する通知書
CRS:外国の金融機関などを利用した脱税や租税回避を防ぐ制度
また、個人の税務調査はすぐに実施されるわけではなく、5年〜10年に1回の頻度で行われるとされています。その理由として、脱税期間が長くなるほど、その分多くの税金を徴収しやすくなるからです。
つまり、「税務調査がない=脱税がバレていない」というわけではないということです。一定額以上の利益を出した場合は必ず確定申告を行いましょう。
海外FXの税金を払わないとどうなる?
確定申告を必要とする方が確定申告しなかった場合は脱税行為とみなされ、厳しいペナルティを課せられる可能性があります。
- 所得を申告しなかった場合
無申告加算税 15%〜20% - 期限を過ぎて申告や納付をした場合
延滞税 2.4%〜14.6% - 所得隠しなど重大な過失がある場合
重加算税 35%〜40% - 期限を過ぎて申告や書類の不足、隠蔽などがある場合
青色申告の承認取り消しや特別控除の減額
海外FX以外の雑所得(仮想通貨取引・アフィリエイト収入)がある方は海外FXの利益と合算し、確定申告しましょう。
海外FXにかかる税金・税率と計算方法
以下では、海外FXにかかる税金や税率と計算方法について解説します。
海外FXにかかる税金・税率
海外FXにかかる税金は「所得税」と「住民税」の2つになります。
以下で、各税金の詳細と税率を紹介します。
①所得税
所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。
引用:国税庁|所得税のしくみ
所得は8つに分類され、海外FXの利益は「雑所得」にあたります。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
海外FXは総合課税の対象となるため、海外FXの利益の他に所得がある場合は合算して所得税を算出します。
総合課税は所得が多いほど税率が高くなる仕組みで、詳細は以下の通りです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
なお、年間所得が2,400万円以下の方は「基礎控除」が適用されるため、年間所得が48万円以下であれば確定申告は不要になります。
②住民税
所得税は一定額以上の利益が出ないと課税対象になりませんが、住民税は利益が1円でも出ていれば納税しなければいけません。
住民税の税率は海外FXの場合、一律10%です。
確定申告する場合は住民税の申告は不必要ですが、確定申告しない方で海外FXの利益が1円以上ある方は市町村へ住民税の申告を行う必要があります。
海外FXで1,000万円稼いだ場合の税金の計算方法
海外FXで1,000万円稼いだ場合の税金の計算方法は以下の通りです。(基礎控除のみ適用・必要経費なし)
【所得税の計算式】 1,000万円(利益)− 48万円(基礎控除)=952万円(課税所得) 952万円(課税所得)× 33%(税率)=3,141,600円 |
【住民税の計算式】 952万円(課税所得)× 10%(税率)=952,000円 |
【復興特別所得税の計算式】 3,141,600円(所得税額) × 2.1%(税率)=65,973.6円 |
【納税総額】 3,141,600円(所得税額)+952,000円(住民税額)+65,973.6円(復興特別所得税)=4,159,573.6円 |
海外FXと国内FXの税率の違い
以下では、海外FXと国内FXの税率の違いや損益分岐点について解説します。
海外FXと国内FXの税金どちらが安い?
まず、海外FXと国内FXでは税制の仕組みが大きく異なります。
海外FX | 国内FX | |
---|---|---|
課税区分 | 総合課税 | 申告分離課税 |
税率 | 5%〜45% | 20.315% |
損失繰越 | 不可 | 可能 |
損益通算 | 可能 | 可能 |
海外FX・国内FX問わずFXでの取引は税制上「雑所得」扱いになります。しかし、国内FXは「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」に該当するため、他の所得と分けて税額を計算します。これを「申告分離課税」と言います。
申告分離課税の税率は以下の通りで、所得額関係なく一律です。
申告分離課税:所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=合計20.315% |
一方、海外FXは他の所得と合算し納税額を算出する「総合課税」が適用され、所得額に応じて税率が上がる仕組み(超過累進税率)です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
最高税率は45%と海外FXの方が高く所得額に応じて税率が上がる仕組みなので、国内FXの方が税制上優遇されていると言えます。
海外FXと国内FXの税金の分岐点は「330万円」
海外FXと国内FXの税率を比較すると、年間所得が330万円以上になると海外FXの方が税率を上回ります。
以下の表は、海外FXと国内FXの税額を年間所得別にまとめたものです。(基礎控除のみ適用・必要経費なし)
年間所得 | 海外FX(所得税+住民税10%) | 国内FX(所得税+住民税5%) |
---|---|---|
150万円 | 225,000円 | 379,725円 |
195万円 | 370,500円 | 468,960円 |
330万円 | 861,750円 | 727,173円 |
695万円 | 2,083,620円 | 1,598,389円 |
900万円 | 3,209,520円 | 1,889,512円 |
1,800万円 | 7,602,000円 | 3,848,893円 |
上記から分かる通り、330万円から国内FXの方が税額が安くなっています。
海外FXはハイレバ取引やゼロカットシステムによる追証なしなどのメリットがありますが、税金のみに視点を当てると330万円以上利益が出ている場合は国内FXの方が有利です。
海外FXと国内FXどちらを利用するかは、税金面や使い勝手などを考慮し検討してください。
為替FXと仮想通貨(ビットコイン)FXの税金の違い
為替FXと仮想通貨FXの税金の違いは、以下の通りです。
海外FX | 国内FX | 仮想通貨FX | |
---|---|---|---|
課税区分 | 総合課税 | 申告分離課税 | 総合課税 |
税率 | 5%〜45% | 20.315% | 5%〜45% |
損失繰越 | 不可 | 可能 | 不可 |
損益通算 | 可能 | 可能 | 可能 |
上記の表を見て分かる通り、仮想通貨FXは海外FXと同じ課税区分や税率になります。
海外FXと仮想通貨FXの取引をしている場合は損益通算が可能となり、税金を抑えられる可能性があります。
海外FXでいくらの利益が出ると課税対象となる?
海外FXで利益が出ても、一定額までは所得税が課せられません。
いくらから課税対象になるのかは、給与所得者・個人事業主などによって異なります。以下では、いくらの利益が出ると課税対象となるのか詳しく解説します。
海外FXの利益は年末調整の対象外
年末調整:給与や賞与から差し引かれる源泉徴収税額と年税額を一致させる精算の手続き。
給与や賞与から差し引かれる源泉徴収税額は大体の金額で算出されたものであり、年末調整によって正しい年税額が出されます。
そのため、会社員などの給与所得者は、会社が代わりに年末調整を行うことで所得税の申告・納税が完了します。
しかし、年末調整は会社の給与などが対象となっており、FXの利益など給与以外の収入は年末調整の対象外です。
そのため、FXで一定額の利益を出した場合は、自身で確定申告を行う必要があることを覚えておきましょう。
確定申告が必要なケース
以下では、確定申告が必要なケースを「給与所得者」「非給与所得者」と分けて紹介します。
サラリーマンなど給与所得者|年間利益20万円以上
サラリーマンなど給与を受け取っている方は、海外FXの利益や副業などの所得が年間20万円以上を超えると税金を納める必要があります。
海外FXで利益が出た場合に、確定申告が必要な方と条件は以下の通りです。
対象者 | ・会社員、アルバイト、パート勤務など勤め先から給料を貰っている方・公的年金等の収入がある方 |
---|---|
条件 | 給与以外の年間で稼いだ所得が20万円を超えた場合 |
海外FXでの利益以外に副業(仮想通貨取引・アフィリエイト収入など)での所得がある場合、海外FXの利益と合算して計算します。
個人事業主・専業主婦など非給与所得者|年間利益48万円以上
個人事業主や専業主婦など非給与所得者は、海外FXで得た所得を含めた年間利益が48万円を超えた場合に確定申告が必要になります。
対象者 | 個人事業主、主婦、学生、無職など給料を貰っていない方 |
---|---|
条件 | 海外FXで得た所得を含めて、年間所得の合計が48万円を超えた場合 |
なお、所得税の基礎控除額は48万円なので、年間利益が48万円未満であれば所得が0円となり確定申告は不要です。
納税者本人の合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円以上2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円以上2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円以上 | 0円 |
基礎控除:確定申告や年末調整において所得税額を計算するに、年間所得額から差し引くことができる控除の1つ。年間所得金額が2,500万円以下の方が対象。
なお、海外FX以外の雑所得も確定申告の対象となります。副業などで海外FX以外の所得もある方は、合算して確定申告することを忘れないよう注意してください。
確定申告が不要になるケース
確定申告が不要になるケースは以下の通りです。
- 給与所得者:給与所得以外の年間利益が20万円以下
- 非給与所得者:海外FXの利益含む雑所得の年間利益が48万円以下
ただし、住民税は海外FXで1円でも利益があれば市町村へ申告する必要があります。確定申告した場合は市町村への申告は不要ですが、確定申告しない場合は、市町村で住民税の申告を必ず行いましょう。
住民税の申告は翌年3月15日までです。住民税無申告だと以下のような厳しいペナルティが課せられるので、申告期限に遅れないよう注意してください。
- 無申告加算税
- 延滞税
- 重加算税
- 刑事罰
その他、年金受給者を対象とした「確定申告不要制度」もあります。
公的年金による収入が400万円以下かつ一定条件を満たした場合は、確定申告が不要になるという制度です。
確定申告不要制度の対象となる条件は、以下の通りです。
- 公的年金等の収入合計額が400万円以下かつ公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
- 公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下
自身が対象であるかどうかは「公的年金等の源泉徴収票」を見れば判断できます。

源泉徴収票の(1)の金額が400万円以下であり、その年に年金以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要になります。
含み益や含み損は課税対象外
課税対象は実現損益のみであるため、含み益や含み損は課税対象になりません。実現損益とは保有しているポジションを決済し、確定した損益のことです。
なお、売買する通貨間の金利差を調整する際に受け取れるスワップポイントは、受け取って口座に反映したときに課税対象となります。
出金時に課税対象になるのではなく、ポジションを決済し口座に反映された時点で課税対象となる点に注意してください。
海外FXの利益は会社にバレる?
海外FXで取引していることを会社にバレたくないと考える人も多いですが、確定申告が必要な利益を出している方は対策をしないと会社にバレる可能性が高いです。
住民税の支払い方法は、会社の給与から天引きする「特別徴収」と自分で納付する「普通徴収」の2つです。
会社の住民税担当者が住民税を確認する際に、本業の課税所得より明らかに高い住民税の金額だったときにバレることが想定されます。
会社にバレるのを防ぐ方法
海外FXの利益がバレないようにする方法は以下の2つです。
- 海外FXにかかる住民税を普通徴収で納める
- 副業していることを同僚に話さない
確定申告する際に海外FX分の住民税を「自分で納付」にチェックしておくことで、海外FX分の住民税は普通徴収になり、自分で納付することになります。

「自分で納付」を選択しても誤って特別徴収で処理されることがあるため、確定申告をしたあとには市役所に確認をしておきましょう。
また、同僚に副業していることを話したり、スマホ画面の通知を見られたりすることで、会社に密告されるケースも考えられます。
高価なものを身につけるなど生活水準を上げてしまうと周囲の人にバレるリスクが高くなるので、ある程度利益が出ても生活水準を上げすぎないよう注意してください。
海外FXの確定申告のやり方
以下では、海外FXの確定申告で必要な書類と手順について紹介します。
必要書類の準備
確定申告の際に必要な書類は以下の通りです。
- マイナンバーカード
- 源泉徴収票(給与所得がある方)
- 年間取引報告書
- 経費の領収書
- 各種控除証明書(社会保険料・医療費など)
海外FXの取引履歴を確認する際は「年間取引報告書」が必要になります。海外FX業者の多くが採用するMT4・MT5を利用している方は、簡単に年間取引報告書を入手できます。
年間取引報告書の入手方法は以下の通りです。
- MetaTrader4もしくはMetaTrader5を起動し口座へログイン
- 画面下部にある「口座履歴」を選択
- ウィンドウ内で右クリックし、「期間指定」を選択
- 報告書の期間を指定する
- ウィンドウ内で右クリックし「レポート」を選択
- 保存形式「Open XML」または「HTML」を指定する
また、税金を抑えるために各種控除も漏れなく申告しましょう。控除の内容によっては証明書が必要な場合もあるので、事前に税務署へ確認しておくとスムーズに確定申告を進められます。
確定申告の流れ
以下では、確定申告の手順を詳しく紹介します。
確定申告書を税務署から受け取り手書きで作成する方法もありますが、今回は必要書類の提出を省略できる「e-Tax」での手順を解説します。
①国税局の確定申告作成ページへアクセス
確定申告に必要な書類を作成します。
確定申告書等作成コーナーにアクセスし、「作成開始」をクリックします。

ここでは、確定申告書を印刷して提出する方法を解説します。「印刷して提出」をクリックします。
マイナンバーカードを所持している方は、スマホで操作を完結できる「マイナンバー方式」がおすすめです。

②「所得税」を選択して作成を開始
作成する確定申告書等を選択します。
確定申告する年を選択し、「所得税」をクリックします。

申告書の作成をはじめる前に、申告する人の「生年月日」と「給与以外の収入があるか」を選択します。

ここから実際に確定申告の手続きに入ります。
③給与所得などを画面に沿って入力する
収入金額や所得金額を入力します。
給与所得や海外FX以外の所得がある人は入力してください。

給与所得がある人は、勤務先から発行された源泉徴収票をもとに入力します。

給与所得などに関する入力は以上です。
特定支出控除を受ける人は、「適用を受ける」に「はい」を選択し入力しましょう。

特定支出控除とは、業務にかかる費用を個人負担した際に所得から控除できる制度です。
次の7項目を個人負担した場合、特定支出として控除を受けられます。
- 通常必要であると認められる通勤費
- 通常勤務地を離れて勤務する際の交通費
- 転勤にともなう引越し代
- 業務に必要な技能や知識などの講習代
- 業務に必要な資格を取得するための費用
- 単身赴任者が自宅に戻る交通費
- 業務に必要な図書や衣類、交際費
ただし、いずれの特定支出控除を受けるには給与支払者の証明が必要です。
④実際にFXで得た利益などを入力
確定申告する年に海外FXで得た所得などを「雑所得」の欄に入力します。

海外FXの収入金額や必要経費、海外FX業者の情報を入力します。

海外FXの所得に関する入力は以上です。
海外FXの所得を登録する際には、海外FX業者の住所や名称を入力する必要があります。海外FX業者の公式サイトを確認して入力しましょう。もし分からない場合は、カスタマーサポートに問い合わせてみてください。
⑤各種控除がある場合は入力する
医療費控除や生命保険料控除、配偶者控除などの各種控除を受ける場合には、該当する項目を入力してください。

生命保険料控除や配偶者控除など、勤務先の年末調整で申告している所得控除はすでに源泉徴収票に反映しているため、ここでは入力しません。
⑤納税額を確認して次に進む
所得控除の入力が完了したら、納付する金額が表示されます。

計算結果を確認し、次に進みます。
⑥住民税・事業税に関する事項を確認して次に進む
納付額の計算結果を確認後、「住民税・事業税に関する事項」を確認します。

内容確認後、次に進みます。
住民税等入力欄では、給与や公的年金等以外の所得に対して発生する住民税の徴収方法を選択できます。

特別徴収を選択すると、給与所得と海外FXに対して発生する住民税額が勤務先に通知されるため、副業がバレる可能性があります。
副業がバレたくない人は、住民税の徴収方法「自分で納付」を選択しましょう。
⑦住所や氏名などの個人情報を入力する
確定申告する人の住所や氏名など個人情報を入力します。

個人情報の入力は以上です。
⑧確定申告書を印刷する
最後に確定申告書を印刷し、最寄りの税務署に持参、郵送で提出します。

以上で確定申告の手続きは完了です。
海外FXの確定申告時の注意点
以下では、海外FXの利益を確定申告する際の3つの注意点を紹介します。
損失繰越はできない
国内FXは損失繰越できますが、海外FXで発生した損失は、翌年に持ち越すことはできません。
海外FXで損失が発生した場合 1年目:50万円の損失 2年目:100万円の利益 海外FXは損失を繰越せないため、2年目の100万円に対して税金を計算します。 |
国内FXで損失が発生した場合 1年目:50万円の損失 2年目:100万円の利益 国内FXの損失は繰り越せるため、2年目の利益100万円から50万円を控除し、残り50万円に対して税金を計算します。 |
そのため、国内FXに比べ海外FXの方が税金が高くなる傾向にあります。
海外FXと国内FXの損益分岐点は「約330万円」です。しかし、各種控除を利用した場合450万円以上の利益を継続して出している方は、国内FXの方が税金を抑えられるでしょう。
国内FXとの損益通算は不可
海外FXと国内FXは所得の区分が異なるため、損益通算はできません。
所得税の計算は所得区分ごとに行われるため、複数の海外FX業者を利用している場合は損益通算することが可能です。
同年に3つの海外FX業者を利用した場合 A業者:50万円の損失 B業者:100万の利益 C業者:30万の利益 A業者の損失50万円とB業者利益100万円、C業者利益30万円を相殺して、その年は80万円に対して税金を計算します。 |
また、仮想通貨取引やアフィリエイトで得た収入などは雑所得扱いとなり、海外FXの損失と相殺できます。
利益が少ない場合確定申告は不要でも住民税の申告が必要
海外FXでの利益が少なく所得税の課税対象外であっても、利益が出ている場合は住民税の納税義務があります。
海外FXの住民税の税率は一律10%、国内FXの税率は一律5%です。
なお、海外FXでの利益が20万円以下の場合確定申告は不要ですが、年末調整で申告できない所得がある場合は住民税の申告義務が生じます。
住民税の申告の際には、役所に「市民税・県民税申告書」という書類を提出します。書類は各自治体のウェブサイトからダウンロードし、郵送もしくは窓口で提出しましょう。
海外FXの節税対策
以下では、海外FXの4つの節税対策について紹介します。
必要経費を漏らさず計上する
海外FXの利益は雑所得扱いとなり、利益から経費を差し引いて算出されます。
海外FXにおける必要経費は限られていますが、だからこそ節税対策として経費にできるものは漏らさず計上することが大切です。
経費の対象となる一例は、以下の通りです。
- 取引に使用するパソコンやスマホの購入費用
- 通信費
- 関連の書籍代・新聞代
- セミナーの参加費用(交通費・宿泊費含む)
- 家賃・光熱費
- 自動売買のVPS契約費用
- 取引にかかる手数料
- 備品代(取引のための文具・デスク・椅子など)
上記のうち、スマホやパソコンの費用、家賃などは全額を経費計上することはできません。海外FX取引で利用した分のみが経費の対象となるため、計上する際は毎日の使用時間などを記録しておく必要があります。
また、海外FXは、10万円以上の高額な経費は複数年に分割して支払わなければいけません。(減価償却)
スマホ・パソコンの購入費用 | 配分方法 |
---|---|
10万円未満 | 一括計上 |
10万円以上20万円未満 | 3年に分けて計上 |
20万円以上 | 4年に分けて計上 |
各種所得控除を利用する
所得税の節税対策として、「所得控除」といった制度が設けられています。
所得税法では所得控除の制度を設けています。
これは、所得税額を計算するうえで、社会政策上の要請によるもの、各納税者の個人的事情への考慮や最低生活費を保障するためのものなど、税負担面での調整を行う趣旨から設けられているものです。
引用:国税庁|所得控除のあらまし
所得控除が適用されるとその分税率が課せられる所得が減り、結果として所得税や住民税の負担を減らすことができます。
所得控除の種類は以下の通りです。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
また、青色申告特別控除は最大65万円の控除が受けられます。
課税所得から差し引ける控除額が多いほど納税額を抑えられるので、該当する控除がないか確認した上で確定申告しましょう。
雑所得同士で損益通算する
海外FX以外に雑所得の損益がある場合は、雑所得同士で損益通算しましょう。
損益通算:同年分の利益と損失を相殺すること
損益通算すると課税所得が少なくなるため、所得税を抑えられます。
なお、海外FXと損益通算できるのは、雑所得のみです。海外FXと所得区分が異なる国内FXなどは損益通算できないので注意してください。
法人化して税率を下げる
法人化することで税率が下がるため、大きな節税につながります。
法人口座 | 個人口座 | |
---|---|---|
税制 | 法人税 | 所得税 |
税率 | 一律23.2% | 最大45% |
損失繰越 | 可能 | 不可 |
損益通算 | 可能 | 可能 |
海外FXの利益は累進課税により個人にかかる最高税率が45%なのに対して、法人税率は一律23.2%です。
さらに法人口座の場合、役員報酬など経費計上項目が増えることや損失繰越が可能になるといった大きなメリットがあります。
しかし、法人化するには登記する際の初期費用が必要になることや、社労士や税理士への報酬といった固定費などがかかり、多額の利益を継続的に出せないと法人化のメリットは得られないでしょう。
法人化の損益分岐点は「約900万円」です。安定して利益を出せない場合は法人化はおすすめできません。
法人化を検討されている方は、節税対策以外のメリットやデメリットも踏まえて判断しましょう。
海外FXの税金に関するよくある質問
最後に、海外FXの税金に関するよくある質問にお答えします。
- 海外FXと国内FXどちらも利用している場合は二重で税金がかかる?
- 海外FXにかかる税金の払い方は?
- 海外FXの税金はいつ支払う?
- 海外FXのスワップポイントは課税対象になる?
- 海外FXのボーナスやキャッシュバックには税金がかかる?
- 海外FXでふるさと納税はできる?
- 海外FXで複数口座の損益通算は可能?
- 海外FXで出金拒否された場合税金は発生する?
- 海外FXで得た利益を出金しなければ税金を支払う必要はない?
- 海外FXで確定申告をしたら扶養から外れる?
海外FXと国内FXどちらも利用している場合は二重で税金がかかる?
海外FX業者と国内FX業者両方を利用していても、二重で税金が発生することはありません。
ただし、税率は異なるので、取引で得た所得は適切に計算し納税する必要があります。
海外FX:申告分離課税で計算
国内FX:総合課税で計算
ただし、税金処理が複雑になりやすいため、不明点などは税理士など専門家への相談も検討しましょう。
海外FXにかかる税金の払い方は?
所得税の納付方法は、下記の通りです。
- 振替納税
- ダイレクト納付
- インターネットバンキング
- クレジットカード納付
- スマホアプリ納付
- コンビニ納付
- 金融機関や税務署の窓口での納付
税務署から納付書や納税通知書が届くわけではなく、自身で納税方法を選択する必要があります。
なお、住民税は申告時に確定申告書で選択した方法で支払います。
特別徴収を選んだ場合は給与から住民税が差し引かれ、普通徴収を選んだ場合は送付された納付書や口座振替で納めることとなります。
海外FXの税金はいつ支払う?
所得税の支払期限は、確定申告と同じく2月16日から3月15日までです。期日を過ぎた場合、利息に相当する延滞税が課せられるため、必ず期日内に納税しましょう。

住民税に関しては、特別徴収の場合毎月給与から天引きされ、普通徴収の場合は納付書で一括もしくは4期分割(6月・8月・10月・1月末)で住民税を納付します。
海外FXのスワップポイントは課税対象になる?
海外FXでプラスのスワップポイントを受け取った場合、課税対象となります。
ただし、ポジションを保有した状態のスワップポイントは対象外で、利益確定した時点で受け取ったスワップポイントが対象です。
マイナスのスワップポイントは、経費(損失)として計上することが可能です。
海外FXのボーナスやキャッシュバックには税金がかかる?
海外FX業者のキャンペーンなどで受け取るキャッシュバックは、通常「雑所得」として取り扱われ、総合課税の対象となります。
これは、キャッシュバックが継続的な取引や業務に付随して得られる性質のものであるためです。一時的に得た収入であっても、営利目的の取引に関連していれば「一時所得」ではなく「雑所得」として課税されます。
雑所得として課税される場合、受け取った金額から必要経費を差し引いた利益部分が課税対象となります。
また、給与所得者の場合は、年間の雑所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。給与所得がない場合や副業をしている個人事業主など、非給与所得者は、原則としてすべての雑所得について確定申告を行う必要があります。
詳しくは以下の記事で詳しく説明しているので、あわせてご覧ください。
居住地が異なる場合も非課税となる可能性があるので、不明点については税理士などの専門家や税務署などに問い合わせてください。
また、ボーナスに関しては「現金として出金できる」ものは課税対象となり、「証拠金として利用できるクレジット」は非課税となります。
つまり、口座開設ボーナスやクッション機能ありの入金ボーナスは非課税となりますが、ボーナスを使って獲得した利益に関しては税金がかかるので注意してください。
海外FXでふるさと納税はできる?
海外FXでも、利益が出た場合にふるさと納税を利用して税金の一部を自治体に納付することは可能です。
ふるさと納税:生まれたふるさとや応援したい自治体に寄付し、地域の特産物など返礼品が受け取れる制度。
ふるさと納税は寄付金控除として所得から控除できるため、その年分の所得税や住民税を抑えられます。
ふるさと納税の申告は郵便でできるワンストップ特例制度ではなく、海外FXの所得や経費と併せて確定申告しましょう。
海外FXで複数口座の損益通算は可能?
海外FX業者で複数口座を所有している場合、所得分類は同じになるので損益通算は可能です。
海外FXの利益は雑所得の分類となり、仮想通貨取引やアフィリエイトの損益も通算できます。
国内FXとの損益通算はできません。国内FXで100万円の損失、海外FXで100万円の利益が出ても、利益に対しては税金がかかります。
また、海外FXでは損失繰越もできません。
損失繰越は最大3年間、損失と利益を相殺できる制度のことを言います。昨年以前3年間は損益がマイナスでも、今年に利益が出た場合は税金がかかります。
国内FXは損失繰越ができるので、海外FX業者と国内FX業者両方を利用している方は間違えないよう注意してください。
海外FXで出金拒否された場合税金は発生する?
海外FXで出金拒否になった場合、状況によって課税対象の有無が決まります。
- 取引履歴がある→課税対象
- 取引履歴がない→非課税
取引履歴がある場合、出金手続きのミスなどの理由で出金拒否されるケースが多いです。この場合、利益が残っている状態なので税金がかかります。
一方、取引履歴がない場合はトレーダーの不貞行為が理由で出金拒否されていることが多く、利益として扱われていないので課税対象にはなりません。
出金拒否の際の税金対応で分からない点がある場合、取引履歴の文書を取得し税務署や専門家へ相談しましょう。
海外FXで得た利益を出金しなければ税金を支払う必要はない?
海外FXで得た利益は、未出金の状態でも税金はかかります。
課税対象となるのは出金した利益ではなく、口座に反映されている1月1日から12月31日までの合計損益です。
少しでも税金を抑えたい場合、年末に保有しているポジションの決済を遅らせるのも手段の一つです。
「未出金だから申告しなくても大丈夫」と誤った認識でいると、税務署にバレた場合は内容や程度に応じて厳しいペナルティが課せられるので、忘れず確定申告を行いましょう。
海外FXで確定申告をしたら扶養から外れる?
自身が扶養親族に該当し、FXでの利益を含め所得が「年間48万円以上」ある場合は確定申告が必要となり、同時に扶養から外れることになります。
FXでの利益が例え10万円でも、アルバイトなどの所得も含め年間所得が48万円以上であれば扶養から外れます。
ただし、社会保険で扶養されている場合、一時的な増収であれば連続2年間は扶養対象です。
まとめ
ここまで、海外FXの税金や確定申告の方法について解説しました。
最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- 海外FXの税金に抜け道はない!脱税は必ず税務署にバレる
- 海外FXにかかる税金は「所得税」「住民税」の2つ
- 海外FXと国内FXの損益分岐点は「330万円」
- 確定申告が必要なのは給与所得者が「年間所得20万円以上」非給与所得者が「年間所得48万円以上」
- 損失繰越はできないが、雑所得(仮想通貨取引・アフィリエイト収入)との損益通算は可能
- 節税対策として「各種控除の利用」「漏らさず経費計上」「法人化の検討」がある
- 確定申告は毎年2月16日〜3月15日、マイナンバーカードがある方はe-Taxでの申告が便利
もし、税金や確定申告について不明点があれば、税理士など専門家へ相談するのも手段の一つです。
納税を忘れてしまうと脱税行為となってペナルティが課せられる場合もあるため、一定額の利益が出たら必ず確定申告しましょう。

海外FXは国内FXに比べてレバレッジの自由度やボーナスの多さなど魅力も多い反面、税制上は総合課税による累進課税が適用され、所得が増えるほど税負担が重くなります。また、国内FXのように損失繰越や申告分離課税の優遇措置は使えない点にも注意が必要です。加えて、税務上の取扱いは個々の取引状況により異なるケースもあるため、不明点は税務署や専門家に相談するのが安心です。節税対策や扶養・住民税への影響も踏まえ、計画的な取引と納税準備を心がけましょう。
この記事を書いた人

人気の記事
- 2022.10.03 Exness(エクスネス) 口座追加開設(乗り換え)手順 【スマホ画像解説付きで簡単!】
- 2023.01.11 海外FXの損失は確定申告が必要?書類の書き方や税金の損益通算も併せて解説!
- 2023.02.27 【海外FX】アービトラージは稼げる?手法や禁止行為について初心者にわかりやすく解説
- 2022.04.18 FXGT FX口座追加開設(乗り換え)手順 【スマホ画像解説付きで簡単!】
- 2022.04.23 マネチャ(Money Charger) 出金手順 【スマホ画像解説付きで簡単!】
最近の記事
- 2025.05.19 海外FXの自動売買(EA)完全ガイド|MT4/MT5のEA設定方法や動かない場合の原因と対処法
- 2025.05.15 海外FXの自動売買(EA)入門!始め方や無料のMT4/MT5のEAを解説
- 2025.05.15 MT4対応のおすすめ海外FX業者比較一覧│MT5との違いやメリット・デメリットも解説
- 2025.05.13 Monaxa追加口座開設手順(乗り換え)【最新スマホ画像付きで簡単アカウント作成】(モナクサ)
- 2025.05.13 VantageTradingの評判・口コミ|安全性や出金拒否の事例を徹底調査(ヴァンテージ)