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海外FXのトレーダーが個人事業主になるのはあり?税金・確定申告時のメリットについて

「海外FXで個人事業主になれば税金がお得になるかも!」
海外FXの利益が安定したら、個人事業主になろうと考えている人はいませんか?
しかし、海外FXは事業として認められる可能性が低いため、個人事業主になっても大きなメリットはありません。
そこで本記事では、海外FXで個人事業主になった場合の税金と確定申告について解説します。
海外の税金に関しては海外FX税金完全ガイドを一読しておきましょう。
目次
海外FXで個人事業主になるメリットとは

一般的に、個人事業主として青色申告すると各種所得控除が受けられるため、所得税の計算では有利とされています。
しかし、海外FXは青色申告が認められない可能性があるため、個人事業主になっても所得控除のメリットが受けられないかもしれません。
さっそく、海外FXで個人事業主になるメリットについて解説します。
個人事業主になるメリットは少ないかも…
海外FXの利益は青色申告の対象外になる可能性が高いため、個人事業主になるメリットは少ないといえます。
なぜなら、以下の理由が考えられるためです。
- FX取引のみで事業とみなされる可能性が低い
- 損失繰越・他所得との損益通算ができない
海外FXは雑所得扱いとなり、FX取引のみで開業届を提出しても受理されない可能性が高いです。
過去には、FXの利益が事業所得と雑所得のどちらに該当するかを争う裁判がおこなわれています。
請求人は、FXの利益が事業所得に該当するとして、損失と給与所得を損益通算する申告をしていました。しかし、FXの利益は雑所得に区分され損益通算が認められず、更生処分と過少申告加算税の賦課決定処分がなされたのに対して不服を申し立てたのがきっかけです。
裁判でも変わらずFXの利益は事業所得として認められず、利益は雑所得に該当すると判断され、FXは損益通算の対象外との判決が出ました。
上記の裁判内容から分かる通り、FX取引だけでは事業と認められません。
事業所得としてみなされるためには、長期間安定的に収益を出し続けることが前提条件です。FX取引のような相場の世界はいつ値動きが急変してもおかしくありません。
性質上「投機的」であるFX取引は、不安定要素が多いという判断がなされるため、雑所得扱いになりました。
よって、他事業所得との損益通算は不可、国内FXのように損失繰越もできず、個人事業主になったとしても節税の恩恵はあまり受けられないでしょう。
経費は個人でも計上できる
経費は会社員やフリーターでも計上できるため、あえて個人事業主になる必要はありません。
海外FXの経費とは海外FXで利益を得るためにかかったコストを指しており、発生した経費は利益から控除できます。
経費を控除して利益が少なくなれば、所得税を抑えられるので節税対策として有効です。
つまり、個人事業主にならずとも経費を計上することは可能なため、経費の観点でも個人事業主になるメリットはありません。
海外FXの経費に関しては以下の記事で詳しく紹介しているので、あわせて一読ください。
個人事業主でなくてもできる節税対策
個人事業主になる選択をせずとも、個人でできる節税対策はあります。
以下では、個人でできる海外FXの節税対策を紹介します。
経費を漏らさずに計上する
海外FXのために利用したセミナー代や通信費などは、経費として利益から控除できます。
一般的に、以下の費用は経費の対象になるとされています。
- セミナー参加費や交通費
- 書籍やテキスト代
- Wi-Fiなどの通信費
- パソコン購入費用
- 備品代
海外FXのために利用した費用のみが確定申告の対象となるので、私的な消耗品やプライベートの飲食代は経費として認められません。
また、経費に計上する費用の領収書やレシート、振り込み記録などはきちんと管理し、経費として支払ったことがわかるようにしましょう。
各種所得控除を利用する
所得税を節税する方法として、社会保険料控除や配偶者控除を利用するのがおすすめです。
所得控除一例
- 配偶者控除
配偶者の課税所得が48万円(給与収入だけなら103万円)以内なら、所得から38万円控除できる。 - 配偶者特別控除
配偶者の課税所得が38万超え〜133万円以下(給与収入だけなら103万円超え〜201万6千円未満)であれば、配偶者の課税所得額によって一定額の控除が受けられる。 - 社会保険料控除
自身や生計を一にする配偶者、親族の社会保険料を支払った場合、支払い金額の控除が受けられる。
その他、医療費控除や生命保険料控除、ふるさと納税も利用可能です。所得税・住民税を少しでも抑えたい方は所得控除をうまく活用しましょう。
雑所得同時の損益通算
海外FXは雑所得扱いとなり他所得との損益通算はできませんが、雑所得同時であれば損益通算することは可能です。
雑所得一例
- 国民年金・厚生年金
- フリマアプリでの収益
- アフィリエイト収入
- 原稿料・講演料
- 他海外FX業者の利益
- 仮想通貨FX
海外FXで利益が出ていても仮想通貨FXや他雑所得で損失がある場合、損益を相殺できるので税金を抑えることができます。
税金を抑えるなら個人事業主より法人化がおすすめ

海外FXは事業と認められないため、個人事業主になれる可能性は低いです。しかし、法人化することで大きな税制メリットが得られます。
- 利益が大きければ所得税よりも税率が低い
- 他事業との損益通算が可能
- 最大10年間の損失繰越が可能
- 経費の幅が広がる
個人口座との大きな違いは「税制」です。
所得税が最大45%かかるのに対し、法人化すると法人税として一律23.2%の税率になります。海外FXは所得が大きいほど税率が上がる「累進課税」が適用されるため、毎年の収益が多い方は法人化することで大きな節税が期待できるでしょう。
また、最大10年間の損失繰越も可能となり、個人よりも形状できる経費項目が増えます。
- 法人名義の車、ガソリン代
- 勤務している社員への給与
- 自身や社員にかけている生命保険
- 法人名義の通信費
- 法人名義の家賃・交通費
- 法人名義で購入したパソコン
個人の場合は、通信費やパソコンは海外FXをしている時間に相当する費用しか認められていませんでしたが、法人名義であれば全額経費に計上可能です。
法人化して法人税のやすい国に移住するのもあり
各種税金を抑える方法として、法人化しタックスヘイブンと呼ばれる国に移住する方法もあります。
タックスヘイブンとは法人税や所得税、住民税などの税率が低い国をいいます。
日本で事業し生活する場合、多くの税金を納めなければいけません。各種税率が低いシンガポールと比較してみます。
日本 | シンガポール | |
---|---|---|
法人税 | 約30% | 約17% |
所得税 | 最大約45% | 最大約22% |
住民税 | 約10% | 0% |
ただし、各種税率が適用されるには一定の要件を満たさなければいけません。
タックスヘイブンで法人設立はもちろん、タックスヘイブンでの居住年数や株式保有割などが定められているため、対象にならない場合は日本の税制に則り税金を納める必要があります。
法人化にはランニングコスト発生などのデメリットも
法人化すると大きな税制メリットが得られる一方、ランニングコストが発生したりお金が自由に使えなかったりなどのデメリットもあります。
- 法人の設立・維持費用がかかる
- 含み益にも税金が発生する
- お金を自由に使えない
- 赤字でも法人住民税を支払う
法人を設立する際に安くても10万円程度はかかり、維持するにも毎年最低7万円の法人住民税などを支払わなければいけません。
また、利益が全て自分の自由に使えるわけではなく、「役員報酬」という形で毎月決められた額でしか受け取れないのもデメリットです。
他にも、含み益にも税金は発生するので、年末にポジションを一部決済するといった利益調整ができない点にも注意が必要です。
法人化の損益分岐点は「約900万円」
個人が法人化を検討するのは、毎年の利益が900万円になってからが妥当です。
前述にもあるように法人化は大きな税制メリットがある一方、毎年一定のランニングコストが発生するため、収益が少なく不安定だと場合によっては赤字になる可能性もあります。
税率だけを見ると「700万円以上」であれば法人の方が税金を抑えられますが、設立費・維持費などを考えると900万円以上安定して利益を出せている方が安心です。
海外FXで個人事業主になるのはあり?税金に関するよくある質問

海外FXで個人事業主になった場合の税金に関して、よくある質問3つに回答します。
- どれくらいの利益なら法人化すべき?
- 国内FXとの損益通算や損失繰越はできる?
- 出金しなくても税金はかかる?
気になる項目をチェックしておきましょう。
Q1.どれくらいの利益なら法人化すべき?
税金の観点で法人化するタイミングを考えると、年間所得が毎年900万円を超えたあたりからが検討対象でしょう。
年間所得700万円であれば、個人も法人も税率は約33%と同程度ですが、法人は経費などの多くの税制メリットを受けているため全体では法人の方がお得になるといえます。
ただし、法人化することで法人税の支払い、税理士や社労士の委託費用などのランニングコストが発生します。
実際に法人化をする前には税理士などに相談し、法人化によって発生する費用を洗い出しておきましょう。
Q2.国内FXとの損益通算や損失繰越はできる?
個人事業主は、海外FXと国内FXの損益通算はできません。また、海外FXの損失繰越は認められていません。
ただし、法人化すると海外FX以外の事業との損益通算、ならびに発生した損失の繰り越し(10年間)が認められます。
個人事業主は所得税の計算を所得区分ごとにおこないます。そのため、所得の区分が異なる海外FXと国内FXは損益通算の対象外です。
- 海外FX:総合課税
- 国内FX:申告分離課税
総合課税とは各種所得金額を合計して所得税を計算し、分離課税はほかの所得金額と合計せずに所得税を計算する制度です。
海外FXの損失は同じ年に発生した雑所得と相殺し、課税所得を計算することが認められていますが、個人事業主は翌年以降に損失を繰り越すことはできません。
個人事業主ではなく海外FXで法人化すれば、多くの税制メリットを受けられます。
出金しなくても税金はかかる?
海外FXの利益を出金していなくても、確定している損益は課税の対象になります。
海外FXはポジションが決済され、確定している損益の合計額が確定申告の課税対象となります。
決済せずに、為替の変動や損益が変動しているポジションは課税の対象になりません。
ただし、売買する通貨間の金利差を調整する際に受け取れるスワップポイントは、受け取って口座に反映したときに課税対象となります。
まとめ

このページでは、海外FXで個人事業主になった場合のメリットを解説しました。
最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- 海外FXは個人事業として認められず、青色申告の対象外になる可能性が高い
- 経費は個人事業主だけでなく、会社員やフリーターでも計上できる
- 事業所得と雑所得の2種類ある個人事業主は、帳簿作成が複雑になりやすい
- 個人事業主は海外FXの損失繰越やほかの所得との損益通算はできない
- 海外FXと副業収入などの雑所得同士は損益通算できる
- 法人は社有車や住居費を経費にできる
個人事業主になっても海外FXは事業として認められない可能性が高いため、税制メリットは多くありません。
反対に個人事業主になることで、確定申告時に提出帳簿の作成が複雑になるため手間が増えるでしょう。
法人化であれば、経費にできる項目が増え、損益通算や損失繰越が認められるので大きな税制メリットを受けられます。
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