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海外FX 追証

海外FXは追証なし?ゼロカットの仕組み・罠と言われる理由を解説

/ / 著者: マネチャ編集部

海外FXの「追証なし」は、ゼロカットシステムによる本当の仕組みです。口座残高がマイナスになっても業者がマイナス分を負担して残高を0に戻すため、最大損失は入金した資金までに限定されます。ただし「必ず・無条件で守られる」わけではなく、発動には条件があり、執行のタイミングや扱いは業者ごとに違います。

この記事では、ゼロカットの仕組みと国内FXで提供できない法的根拠(金融商品取引法の損失補塡禁止)に加えて、主要8社のゼロカット規約条文・執行条件を確認日つきで比較し、「罠」と言われる理由と適用されないケースまで、一次情報で解説します。

結論|海外FXの追証なし・ゼロカット(2026年9月時点)

  • 「追証なし」は本当。ゼロカットシステムにより口座残高のマイナス分は業者が負担し、規約の範囲の通常取引なら最大損失は入金額までで借金にならない
  • 国内FXで提供できないのは法律の構造。金融商品取引法39条が顧客の損失の補塡を禁止し、内閣府令117条は逆に不足額(追証)を顧客に預託させることを業者に義務付けている。実際に国内では相場急変のたびに未収金=追証が発生している(スイスフランショックでは1日で約33.9億円・金融先物取引業協会の公表値)
  • ゼロカットには2種類ある:EU・英国では規制上の義務(ESMA 2018年・FCA 2019年)だが、日本人が使うオフショア法人では規約上のサービス。条件・執行タイミングは業者が決めるため、規約の確認が必須
  • 発動しないケースがある:ゼロカットを前提にした複数口座・業者間の両建て、ボーナスの乱用などの規約違反と判定された取引は適用外。「罠」と言われる実態はゼロカット自体ではなく、この誤解と一部の業者にある
  • 執行の速さ・ボーナスとの相殺順序・申請要否は業者ごとに違う。本文の8社比較表(規約条文・確認日つき)で確認できる

この記事の監修者

伊藤亮太

日本証券業協会一種証券外務員

伊藤亮太

学生の間にCFP資格、DCアドバイザー資格取得。現在は証券外務員一種も保有。その後、証券会社の営業・経営企画部門、社長秘書等(その間に投資信託や株式の販売、セミナー企画、FX事業の立ち上げ、投資顧問会社の設立など)を行う。また、投資銀行業務にも携わる。2007年11月 スキラージャパン株式会社設立。取締役に就任。東洋大学経営学部非常勤講師、大手前大学通信教育部非常勤講師、千葉科学大学危機管理学部非常勤講師、ファイナンシャルプランナーとして活動中

伊藤亮太のプロフィール>

※本記事は、MoneyCharger編集部がコンテンツ制作ポリシーに基づき作成し、CFP・証券外務員一種を保有する伊藤亮太氏の監修を受けています(2026年9月監修)。法令はe-Gov法令検索の現行条文(金融商品取引法39条・金融商品取引業等に関する内閣府令117条)、国内の未収金統計は金融先物取引業協会の公表資料、EU・英国の規制はESMA(2018年3月)・英FCA(2019年7月)の公式発表、各社のゼロカット条件は利用規約・公式サポートページ原文(取得版・確認日を本文に明記)を、2026年9月4日に確認したものです。海外FX業者は日本の金融庁に登録がなく、金融庁消費者庁は無登録業者との取引を行わないよう注意喚起しています。本記事は一般的な情報提供であり、特定の業者の利用を推奨するものではありません。

海外FXがはじめての方は、あわせて海外FX初心者完全ガイドもご覧ください。

伊藤亮太さん

海外FXのメリットにゼロカットの仕組みがあります。仮に為替の大変動があり大損失となった場合でも追証が発生しません。ただし、すべての海外業者で対応しているというわけでもなく、その対応方法にも差がある場合があります。そのため、ゼロカットについて興味がある方は、この記事をしっかり読み、業者による比較を行うべきです。

海外FXの「追証なし」とは|ゼロカットシステムの仕組み

ゼロカットシステムとは、取引の損失で口座残高がマイナスになったとき、マイナス分を業者が負担して残高を0にリセットする仕組みです。つまりゼロカットとは「損失の上限を入金額で確定させる保険」であり、これにより利用者は入金額を超える損失を負わず、「追証なし(=追加の証拠金を請求されない)」が実現します。

そもそも「追証」とは——国内FXでは請求が業者の義務

追証(おいしょう)とは「追加証拠金」の略で、証拠金が不足したときに追加入金を求められることです。広い意味では、ロスカットが間に合わず口座残高がマイナスになったときの「不足金の請求」も追証と呼ばれ、検索で問題になるのは主にこちらです。マイナス分は業者への債務、つまり借金になります。

重要なのは、国内FXの追証は「業者が意地悪で請求している」のではない点です。金融商品取引業等に関する内閣府令117条1項27号・28号は、証拠金が必要額に不足した場合に「不足額を預託させることなく契約を継続する行為」を業者の禁止行為として定めています。つまり不足分を顧客に入れさせることが法令上の義務で、国内業者には追証を免除する選択肢がそもそもありません。

ゼロカット執行までの流れ|国内FXとの分岐点

ゼロカットが働くのは、ロスカットでは防ぎきれない急変動が起きたときです。流れを図にすると次のようになります。

追証なしの仕組み|ゼロカット執行までの流れと国内FXとの違い

通常はロスカット(強制決済)で損失は口座残高の範囲に収まります。しかし経済指標の発表や週明けの窓開けなどで価格が飛ぶと、ロスカットの約定が間に合わず残高がマイナスに突き抜けることがあります。ここから先が分岐点で、ゼロカットのある海外FXではマイナス分がリセットされ、国内FXでは不足金として請求されます。

マージンコール・ロスカット・ゼロカットの違い(3段階の安全装置)

3つの用語は「どの段階の安全装置か」で整理すると分かりやすくなります。

段階働くタイミング何を守るか
① マージンコール証拠金維持率が警告水準まで低下したとき警告のみ。入金かポジション整理を促す
② ロスカット維持率が業者の定める水準(例:0〜50%)を下回ったときポジションを強制決済して口座残高を守る
③ ゼロカットロスカットが間に合わず残高がマイナスになったときマイナス分をリセットして入金額を超える損失(借金)を防ぐ最後の安全網

つまりゼロカットはロスカットの代わりではなく、ロスカットが破られたときにだけ働く最後の砦です。ロスカットの水準や計算方法は海外FXのロスカット解説記事で詳しく扱っています。

マネチャ編集部

「ゼロカットがあるならロスカットは要らないのでは?」と聞かれることがありますが、順序が逆です。まずロスカットが資金を守り、それでも防げない急変時だけゼロカットが借金を防ぎます。日常の取引で意識すべきはロスカットまでの資金管理です。

なぜ国内FXは追証あり・海外FXは追証なしなのか|法律の構造

「なぜ国内FXにはゼロカットがないのか」の答えは、業者のやる気ではなく法律の構造にあります。国内では①顧客の損失を業者が補塡することが金融商品取引法で禁止され、②証拠金の不足額を顧客に入れさせることが内閣府令で義務付けられています。この2つが揃っているため、「追証なしの国内FX」は制度上つくれません。

金融商品取引法39条「損失補塡の禁止」——顧客の損失の肩代わりは違法

金融商品取引法39条1項は、金融商品取引業者等がデリバティブ取引(店頭FXを含む)について、顧客に損失が生じた場合に「その全部又は一部を補塡し、又は補足するため…財産上の利益を提供する旨を…申し込み、若しくは約束」すること(1号)、事後に申し込むこと(2号)、実際に利益を提供すること(3号)をすべて禁止しています(e-Gov法令検索・現行条文を2026年9月4日確認)。しかも同条2項により、補塡を要求・受領した顧客側も違法になります。

「口座残高を超えた損失(=顧客の債務)をあらかじめ業者が肩代わりすると約束する」ゼロカットは、この条文の構造にそのまま当てはまり得るため、国内業者がゼロカットを提供すれば損失補塡に該当するおそれがある——と一般に解されています(「ゼロカットは39条違反」と名指しした金融庁の公式文書は当編集部では確認できていません。条文の構造からの説明です)。

机上の話ではなく、実例があります。証券取引等監視委員会は2019年8月、東郷証券に対する勧告で、経営陣が顧客8名の取引所FX(くりっく365)の損失を補塡するため合計約6,970万円相当の利益を提供した行為を、金商法39条1項2号・3号違反と認定しました。国内で顧客の損失を業者が肩代わりすると、実際にこうして当局の勧告・処分の対象になります。

国内では「追証の請求」が業者の義務——内閣府令117条

もう一方の柱が、金融商品取引業等に関する内閣府令117条です。同条1項28号は、営業日ごとの判定時点で証拠金が維持必要預託額に不足する場合、「速やかに当該顧客にその不足額を…預託させることなく、当該通貨関連デリバティブ取引に係る契約を継続する行為」を業者の禁止行為として定めています。つまり不足額=追証を顧客に請求することが業者の法令上の義務であり、免除する裁量がありません。なお同条7項・8項の「証拠金率4%」が、国内の個人向けレバレッジが実質25倍に制限される根拠です。

国内でも追証(未収金)は実際に発生している|協会の公表統計

「追証といっても滅多に起きないのでは」と思うかもしれませんが、金融先物取引業協会は相場急変時の「ロスカット等未収金」=ロスカットが間に合わず顧客が業者に負った債務の発生状況を公表しています。

発生日・事象未収金発生額(合計)発生件数
2015年1月15日 スイスフランショック約33億8,800万円(うち個人 約19億4,800万円)1,229件(うち個人1,137件)
2015年8月24日 チャイナショック(ランド円等の急変)約9億1,900万円4,999件
2019年1月3日 フラッシュクラッシュ(円急騰)約9億4,300万円6,598件
2021年3月22日 トルコリラ円急落約13億8,100万円3,458件

スイスフランショックでは、個人だけで1日に約19.5億円・1,137件=1件平均約171万円の「借金」が発生した計算です。月次の発生状況も毎月公表されており、大きな事件のない平時にも未収金は繰り返し発生しています(発生ゼロの月もあります)。レバレッジ25倍の国内FXでも、追証は現実に起きるリスクだということが公的統計で確認できます。

海外FX業者がゼロカットを提供できる・する理由

海外FX業者の日本人向け法人は日本の金商法の登録外で営業しているため、39条・117条の枠組みがそのまま適用されません。そのうえで各社がゼロカットを提供するのは、ハイレバレッジとセットにすることで「少額資金・損失限定」の取引環境をつくり、取引量を増やすためです。業者の収益源がスプレッド・手数料である以上、利用者が安心して取引を続けられる仕組みは業者自身の利益にもなります。国内FXとの制度全体の違いは海外FXと国内FXの比較記事で整理しています。

マネチャ編集部

「国内は追証あり=危険、海外は追証なし=安全」という単純な話ではありません。国内は法規制と信託保全で業者リスクが小さく、海外は借金リスクが小さい代わりに業者選びのリスクを自分で負います。何のリスクを取り、何を避けたいかで選ぶのが正解です。

ゼロカットには2種類ある|「規制上の義務」と「規約上のサービス」

見落とされがちですが、ひとくちに「ゼロカット(マイナス残高保護)」と言っても、法律で義務付けられたものと、業者が任意で提供するものの2種類があります。この違いは「どこまで当てにしてよいか」に直結します。

ゼロカットには2種類ある|規制上の義務(EU・英国)と規約上のサービス(オフショア法人)

EU・英国では「規制上の義務」——ただしハイレバ禁止とセット

EUの証券監督当局ESMAは2018年、個人向けCFD取引に対して口座単位のマイナス残高保護(Negative Balance Protection)を義務化しました。同時にレバレッジ上限(主要通貨ペア30倍)、証拠金50%での強制決済、ボーナス提供の制限も課されています。英国FCAも2019年に同内容を恒久ルール化し、「顧客はCFD口座内の資金総額を超えて損失を被らない」保護の提供を業者に義務付けました(いずれも当局公式発表・2026年9月4日確認)。

つまり規制でゼロカットが保証される環境は、ハイレバレッジやボーナスの禁止とセットです。「レバレッジ数百倍+ゼロカット」という組み合わせは、規制の緩い法域でしか成立しません。

日本人向けオフショア法人では「規約上のサービス」——だから条文確認が必要

一方、日本人が実際に口座を開くのは、XMTrading(セーシェル法人)やFXGT(セーシェル法人)、HFM(セントビンセント法人)といったオフショア法人です。これらの法域にマイナス残高保護を義務付ける規制があるという証拠は、当編集部では確認できていません。つまりゼロカットは各社が利用規約・公式FAQで任意に提供している「サービス」であり、条件・執行タイミング・適用除外は業者が規約で決めています。

同じブランドでも、グループのEU法人の口座なら規制上の保護、日本人向けオフショア法人の口座なら規約上のサービス——と法人によって保護の性質が変わるのが海外FXの構造です(この「契約する法人」の考え方は金融ライセンス記事で詳しく解説しています)。だからこそ、次章の「自分の業者の規約のどこにゼロカットが書いてあるか」の確認が重要になります。

主要8社のゼロカット規約条文・執行条件を横断比較

「自分の業者のゼロカットは、どこに・どう書いてあるのか」を確認できる形でまとめました。ネット上の「執行まで◯時間」という情報は記事によって食い違うため、この表は各社の規約原文・公式ページの記載だけを根拠にし、確認日を明記しています。

業者ゼロカットの明文根拠執行タイミングの明文申請の要否適用除外・注意点
XMTrading規約39.9条——口座単位のNegative Balance Protection(最大損失を口座資金に限定)をポリシーとして明文化出典:Client Agreement(2024年6月取得版)規約に記載なし(自動処理)記載なし(自動)裁定・市場リスクを取らない取引・協調した内部両建て・NBP悪用の兆候/疑いがあればNBPを適用しない権利と、別口座の資金をマイナスと相殺する権利を留保(39.9条後段)
Exness規約本文に明文条項なし。公式サイトでNBPの提供を案内出典:Client Agreement(2025年5月取得版)を全文確認。公式解説ページはアクセス制限で未確認記載なし不正利益(illicit profit)の除去条項あり。規約上の保証条文がない点は他社との違いとして把握しておく
FXGT規約14.12条——「証拠金がゼロを下回った場合、会社は残高の請求権を放棄する(Negative Balance Protection)」と明文化。14.13条でスリッページもNBPに影響しないと明記出典:Terms and Conditions v1.14(公式CDN)規約に記載なし(自動処理)記載なし(自動)AI・ソフトウェア等によるNBP・ボーナスの悪用は利益控除・取引取消・口座解約(8.5条・8.6条)。「NBPポリシーの濫用」自体が解約事由
TitanFX規約本文に記載なし。公式ヘルプ「マイナス分を補填し残高をゼロに戻す制度」出典:公式ヘルプセンター(2026年6月4日更新版)マイナス発生の翌営業日後に随時補填自動。処理を早めたい場合は「ゼロカット補填依頼申込フォーム」から申請可「トレードオペレーション部による精査の上で適用」——乱用・悪用と判断された取引には補填しないと公式明記
AXIORY規約の証拠金条項(g)——「異常な相場での決済不能によるマイナスは請求しない」と明文化出典:Terms on Investment Services(2025年12月24日版)7営業日以内にゼロへ復元(8社で唯一、期限を規約に明記)自動。期限内に戻らない場合は顧客から連絡裁定・市場障害の悪用・過度な高頻度取引は取消・支払留保の対象(14.6条(a)・30.6条)
BigBoss公式「ゼロカットシステム」ページ(利用規約本文は非公開)出典:公式サイトのゼロカット解説ページ実行条件を満たしてから4時間以内に自動処理不要ポジション保有中に入金すると、その入金分はマイナスと相殺されゼロカットの対象外/含み益のある未決済ポジションがあると処理保留/マイナス残高中は出金・資金移動不可/不正取引と判断された場合は対象外
HFM規約17.4条——「ストップアウトに起因するマイナス残高は全額調整する」と明文化出典:Account Opening Agreement(2023年1月版)記載なし記載なし条文が「ストップアウト起因のマイナス」に限定した書き方。禁止取引(裁定・窓開け狙いの両建て等)は利益没収の対象(27.1条)
ThreeTrader
(スリートレーダー)
公式ブログで案内(規約本文にNBP提供の明文はなく、逆に複数口座間でマイナス残高を相殺できる権利を規定)出典:公式ブログ・Client Agreement(2023年9月版)1営業日以内に自動リセット不要(リセット待ちの間の追加入金も不要)ゼロカット悪用を狙った取引は規約で禁止。「操作」と判定された取引は無効化(9.7条)

※条番号・記載内容は当編集部が2026年9月4日に取得した版に基づきます。XMTrading(2024年版)・Exness(2025年版)・HFM(2023年版)・ThreeTrader(2023年版)の規約は公式サイトがアクセス制限下にあるためアーカイブ経由で取得しており、現行版と異なる可能性があります。「記載なし」は取得した文書にその記述が見当たらないという意味です。最終的な条件は必ずご自身の契約先の現行規約・公式サポートでご確認ください。

この表から読み取れるポイントは3つあります。第一に、「規約の条文でゼロカットを保証している業者」(XM・FXGT・AXIORY・HFM)と、「規約外の公式案内で提供している業者」(TitanFX・BigBoss・ThreeTrader・Exness)に分かれること。規約に書かれていれば契約上の約束として主張しやすく、公式案内のみの場合は運用変更の余地が相対的に大きくなります。第二に、執行の期限を明文化しているのはAXIORY(7営業日)・BigBoss(4時間)・ThreeTrader(1営業日)など一部だけで、多くは「自動処理」とだけ案内されていること。第三に、Exnessを除く7社が悪用時の適用除外を明文で持ち、Exnessも不正利益の除去条項で対処し得ることです。

マネチャ編集部

実務でとくに注意したいのはBigBossの「ポジション保有中の入金はゼロカット対象外」のような細則です。マイナス残高が出たときは、慌てて入金する前に「リセット処理が済んでから入金する」のが安全な順序です(TitanFXのように処理前の入金用フォームを用意している業者もあります)。

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ゼロカットのメリットと「最大損失」の考え方

ゼロカットのメリットは、突き詰めると1つです。「最大損失=口座に入金した金額」と、損失の上限が事前に確定すること。ここから3つの実利が生まれます。

ゼロカットの3つのメリット

  • 借金にならない——相場がどれだけ急変しても、入金額を超える請求は発生しない(国内FXの未収金のようなマイナスを負わない)
  • 少額×ハイレバレッジの戦略が成立する——「失ってよい額だけ入金して大きく張る」という、損失限定を前提にした資金配分ができる
  • 急変時の心理的負担が小さい——週明けの窓や指標発表で残高がマイナスに振れても、最悪のケースが入金額で止まると分かっている

レバレッジ別・最大損失シミュレーション(証拠金10万円の場合)

「ハイレバは危険」という感覚と「ゼロカットで損失限定」の関係を、証拠金10万円・米ドル/円150円で上限いっぱいまでポジションを持った場合の理論値で整理します。

レバレッジ建てられる上限ポジション相場が2円逆行した場合の損失実際に負担する額
25倍(国内水準)約1.6万通貨約3.3万円約3.3万円(残高内。ただし急変でロスカットが間に合わなければ不足金請求があり得る)
500倍約33万通貨約66万円10万円で打ち止め(ゼロカット)
1,000倍約66万通貨約133万円10万円で打ち止め(ゼロカット)

※フルレバレッジで持ち続けた場合の理論値です。実際には途中でロスカットが働くため、通常の相場でここまでの損失にはなりません。

誤解しやすいのですが、ゼロカットは「損失を小さくする仕組み」ではなく「損失の上限を入金額で止める仕組み」です。入金した10万円は普通に全損し得ます。日常の損失をコントロールするのはあくまでロスカットまでの資金管理で、ゼロカットはその外側の保険と考えてください。

なお、ゼロカットのデメリットとしてよく挙げられる「リスク管理を軽視しやすくなる」「ゼロカットのコストは実質的にスプレッドへ織り込まれている」という論点は、単なるデメリットの列挙よりも「罠」と言われる理由として整理したほうが本質が見えるため、次章でまとめて扱います。

ゼロカットシステムが「罠」と言われる5つの理由

「追証なしなんて、うますぎる話では?」という疑いは半分正しく、半分誤解です。ゼロカットという仕組み自体に罠はありませんが、「罠だった」と感じる事態は実際に起こり得ます。その正体を5つに分解します。

理由① 発動条件を誤解している——「無条件で守られる」わけではない

最も多いのがこれです。悪用と判定された取引は適用外(後述)、執行までの時間は業者ごとに異なり、マイナス残高のまま入金すると相殺されて対象外になる業者もあります(BigBossが公式明記)。「ゼロカット=いつでも・何をしても守られる」と思っていると、細則で足をすくわれます。

理由② ゼロカットは業者の体力があって初めて機能する

ゼロカットは顧客のマイナス分を業者が丸ごと被る制度です。2015年1月のスイスフランショックでは、米上場大手FXCMで顧客のマイナス残高が1日で約2.25億ドル発生し(同社がSECに提出した8-K・プレスリリース原文で確認)、自己資本規制違反の恐れから緊急融資を受ける事態になりました。英国の大手Alpari (UK)は同じ急変で支払不能となり破綻しています(英FCAの公式声明・2015年1月19日)。また当時「ゼロカット対応」を掲げながらマイナス残高を請求した海外業者(FXDD)があったと複数のメディアが伝えています(当編集部では一次資料を確認できていません)。「追証なし」の約束は、業者の支払能力が前提——これが罠と言われる実態の核心です。

理由③ 国内で同じことをすると違法になる——「国内なのにゼロカット」は危険信号

前述のとおり、国内で顧客の損失を業者が肩代わりすると金商法39条の損失補塡に該当し、東郷証券の事例では実際に証券取引等監視委員会の勧告に至りました。裏を返せば、「金融庁登録の国内業者なのに追証なし・ゼロカットあり」を謳う勧誘があれば、それ自体が違法か虚偽のシグナルです。

理由④ 「ゼロカットあり」を餌にする悪質業者がいる

越境消費者センターは、海外FX業者への入金後に「出金に応じてもらえない」「事業者と連絡が取れない」という相談が寄せられているとして注意喚起を公表しています。そして「追証なし・ゼロカットあり」は海外FXの集客の定番文句であるだけに、実体のない業者の宣伝にも使われやすい要素です。ゼロカットの有無だけで業者を選ぶと、この罠に掛かります。規約の条文で確認できるか・運営歴・紛争解決機関への加盟を見る——という安全性の確認手順とセットで考えてください。

理由⑤ 「借金しないから」の過信がハイレバ乱用を招く——行動の罠

制度ではなく自分自身の罠です。損失が入金額で止まる安心感は、裏返せば「溶かしても入金し直せばいい」という感覚でフルレバレッジを連打し、資金を失い続ける行動を誘発します。何度もゼロカットになっているなら、守られているのではなく減り続けています。ゼロカットを「攻めの道具」ではなく「不可抗力への保険」と位置づけられるかが、海外FXで生き残る分かれ目です。

まとめると、罠なのはゼロカットという制度ではなく、①発動条件の誤解 ②業者の支払能力への無関心 ③「国内でもある」という誤認 ④業者選びの手抜き ⑤自分の過信の5つです。逆に言えば、この5つを押さえればゼロカットは素直に強力な安全装置です。

ゼロカットが適用されないケース|規約違反・悪用の条文

主要8社のうち7社が、悪用と判定した取引にゼロカットを適用しない権利を規約・公式案内で明示しています(Exnessは規約にNBP条項自体がなく、不正利益の除去条項で対処する建付け)。「追証なしのはずが請求された」というトラブルの多くは、ここに該当します。とくに次の3類型は、本人に悪意がなくても検知されれば条文どおりの措置(適用除外・利益取消・口座凍結)を受けます。

ゼロカットが適用されない3つの代表例

  • ① ゼロカットを前提にした両建て——自分の別口座・家族名義・他業者の口座で反対ポジションを持ち、損失側をゼロカットで切り捨てる取引。XMは39.9条でNBP不適用+別口座資金との相殺を明文化。FXGT 2.6条・HFM 27.1条・ThreeTrader 9.7条なども禁止
  • ② 通信遅延・価格エラーを突く裁定取引——リスクを取らずに利ざやを抜く手法は、ゼロカット以前に取引自体が無効化・利益没収の対象
  • ③ ボーナスの乱用——複数アカウントでのボーナス取得、ボーナスとゼロカットを組み合わせて損失を切り捨てる設計の取引(FXGTは「NBPポリシーの濫用」自体を解約事由に明記)

悪用と判定された場合の措置はゼロカットの不適用にとどまらず、関連する取引の無効化・利益の没収・口座の凍結までセットになっている規約が大半です。条文の詳細と凍結された場合の対処は海外FXの口座凍結の原因と解除方法で、規約違反以外も含めた借金リスク全般は海外FXで借金になるケースと対策で解説しています。

マネチャ編集部

「ゼロカットがあるから、損失側の口座は捨てればいい」という発想の取引は、ほぼすべての業者が規約で名指しに近い形で禁止しています。業者は端末・取引パターンで検知しており、発覚すれば利益ごと取り消されます。ゼロカットは戦略の道具ではなく、不可抗力に備える保険と捉えてください。

海外FXの追証なし・ゼロカットに関するよくある質問

ゼロカットは必ず発動しますか?

無条件ではありません。各社とも、規約違反・悪用(ゼロカット前提の両建て・裁定・ボーナス乱用など)と判定した取引にはゼロカットを適用しない建付けです。通常の裁量取引で相場急変によりマイナスになった場合に適用されるのが基本です。適用されないケースを確認してください。

執行までどのくらい時間がかかりますか?

期限を明文化している業者は一部で、BigBossは条件充足から4時間以内、ThreeTraderは1営業日以内、TitanFXは翌営業日後に随時、AXIORYは7営業日以内と案内・規定しています。XMTrading・FXGTなどは「自動処理」とのみで時間の明文はありません。マイナス残高のまま数日残ることもありますが、リセット前の追加入金には注意が必要です(次の質問)。

マイナス残高のまま入金するとどうなりますか?

業者によっては入金分がマイナスと相殺され、ゼロカットの対象外になります。BigBossは「ポジション保有中に入金した場合、その入金分はゼロカットの対象外」と公式に明記しています。原則として、リセット処理が完了してから入金するのが安全な順序です。TitanFXのように処理前入金用の申請フォームを用意している業者もあります。

ボーナス(クレジット)とゼロカットの関係は?

損失の吸収順序は業者ごとに異なります。たとえばBigBossは、複数口座がある場合の補填原資について「クレジットボーナスは現金が尽きた後」と公式に案内しています。ボーナスを使った取引でマイナスが出た場合の扱いは各社のボーナス規約に依存するため、キャンペーン利用時は該当規約の確認をおすすめします。

ゼロカットに回数制限はありますか?

今回確認した8社の規約・公式案内に、回数制限の記載は見当たりませんでした。ただし短期間に何度もゼロカットになる取引パターンは、リスク管理の観点で見直しが必要ですし、業者側の精査対象になる可能性もあります。

国内FXに「追証なし」の業者はありますか?

ありません。金融商品取引法39条が損失の補塡を禁止し、内閣府令117条が証拠金の不足額を顧客に預託させることを業者に義務付けているためです。国内でも相場急変時にはロスカットが間に合わず未収金(追証)が実際に発生しており、金融先物取引業協会が統計を公表しています。法律の構造の解説をご覧ください。

追証なしなら、海外FXで絶対に借金しませんか?

「取引の損失で入金額を超える請求を受けない」のがゼロカットであり、入金した資金自体は全損し得ます。また規約違反と判定された場合の請求、クレジットカード入金の使いすぎ、生活資金までの投入といった借金の入り口はゼロカットでは防げません。詳しくは海外FXで借金になるケースと対策で解説しています。

ゼロカットで補填された分は、税金・確定申告に関係しますか?

ゼロカットはマイナスになった残高を0に戻す処理で、手元の資産が増えるわけではないため、一般に課税対象の利益とは考えにくい処理です(この点についての国税庁の公式見解は当編集部では確認できていません)。なお海外FXの損失は同じ年の雑所得内でしか通算できず、翌年への繰越はできません。詳細は海外FXの税金ガイドと税理士への相談をおすすめします。

まとめ|「追証なし」は本当。ただし規約と業者選びが前提

この記事の要点

  • 海外FXの「追証なし」はゼロカットシステムによる本当の仕組み。最大損失は入金額までに限定される
  • 国内FXで提供できないのは金商法39条(損失補塡の禁止)と府令117条(不足額預託の義務)という法律の構造。国内では未収金=追証が現実に繰り返し発生している
  • ゼロカットには「規制上の義務」(EU・英国)と「規約上のサービス」(日本人向けオフショア法人)の2種類があり、日本人向け口座は後者。条件は業者が規約で決める
  • 規約の条文でゼロカットを保証する業者(XM・FXGT・AXIORY・HFM)と公式案内のみの業者があり、執行期限の明文も一部だけ。8社比較表で自分の業者を確認する
  • 悪用(両建て・裁定・ボーナス乱用)と判定された取引は適用外。「罠」の実態はゼロカット自体ではなく、発動条件の誤解と業者選びにある

ゼロカットは、正しく理解すれば海外FXの最大の安全装置です。規約でゼロカットを確認できる業者を選び、日常の資金管理はロスカット水準で行い、ゼロカットは急変時の保険として温存する——この使い方ができれば、「追証なし」のメリットを安心して活かせます。業者の総合的な安全性は海外FX業者の安全性ランキング・評価基準もあわせてご覧ください。

伊藤亮太さん

あくまでもゼロカットに頼ることなく、トレードすることが大前提です。損失を出さないよう訓練を積み重ねて利益の出る体質づくりを目指しましょう。

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マネチャ編集部

この記事を書いた人

マネチャ編集部

マネチャ編集部は、累計200億円以上のキャッシュバック支払い実績を持つ Money Charger の公式編集部です。25社以上の海外FX業者との直接提携を通じて得た一次情報をもとに、ユーザーの取引コスト削減に役立つ情報を発信しています。

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